白屋書房Blog

組版・縦書きサイト「白屋書房」のブログです

約物問題の最終解決

 ZRさんが……ZRさんがもんのすごいミニパッケージを書かれました……!

LaTeX: 和文を欧文扱いして和文扱いする件 · GitHub

 これがあれば約物関連は基本何もしなくてもOKです。書いたまんま見たまんまで出力されます。余計なコマンドを打ったり不自然にベースラインをいじることもありません。夢のようだ!最後の最後でハマった三点リーダーのトラップともおさらばだ!
(間を繋げるためにダッシュを欧文扱いにすると、同じブロックに所属する三点リーダーまで欧文扱いになって左端に表示されてしまうというマヌケな手落ちがあった)

 使い方は簡単、上のリンクから飛んだ先のgistのページで「Download ZIP」ボタンを押し、ダウンロード・解凍ののち、.styのファイルを自分が組版したい文書と同じフォルダに入れ、いつもと同じように\usepackage{zrjapunct1}をプリアンブルで宣言するだけです。
 TeX Liveに含まれていない新しいパッケージや自作パッケージは、こうして同じフォルダ(ディレクトリ)に入れてusepackageするのが一番シンプルなやり方です。

 このパッケージの中身を噛み砕いて説明できるほど筆者の技術力は高くないんですが、原理としてはGeneral Punctuationを一旦全部欧文扱いにし、三点リーダーや米印など和文に戻したいものは個別に戻し、戻すだけでは解決しないダッシュやなどにトリックを凝らす、という構造のようです。
 なのでプリアンブルにおいて、\cjkcategory{}指定の中にsym04(General Punctuation)を入れないでください。このパッケージはベースがprefernoncjkモードでもprefercjkvarモードでも使えますが、せっかくパッケージが裏側で担ってくれているsym04をを明示的に自分の方で指定してしまうのは避けましょう。

 さてどんなふうに本記事に入れ込もうかな。Hugoにおける各記事のweight設定が甘かったから、もしかすると約物以降全部数字ずらすことになるのか……?やっぱりちゃんと考えながら書いたほうがいいですねorz

 あとAdvent Calenderもどうしよう。当初はサイトから横書きにも使えそうなところをピックアップして「TeXでつくる可能な限りWYSIWYGな文書」的なのを書こうかなと思っていたんですが、よく考えると今までやってきたのは縦書きに適応させたいがための小細工なので、横書きでできる項目があんまりないんですね。縦中横とか二重感嘆符とかは概念そのものが要らないし、ダブルミニュートや括弧類も普通に書けば出る。うーんボツかな……ネタ探さないと、とか言ってるうちに今日が一日ですよ

基盤編完成です!

 やっとのことで「本文の編集・基盤編」を、まとめまで上げられました!多分後から修正箇所がポロポロ出てくるでしょうが、とりあえずこれで一段落です!!

 いやあ長かった……特に和文/欧文扱いの切り替えが長かった。自前の小説を組んでた時は分からなかったけど、十蘭の特殊文体の穴にぼこぼこはまりまくりました。
 でも怪我の功名で、どうしてもコマンドなしで何とかしたかったダッシュに道が開けたのは嬉しかったです。
 TeXは普通のプログラミング言語でやるような自動検索&置換ができない、というかものすごく難しいので、そこに突っ込むか同じくらい危険らしいフォントメトリックの沼に突っ込むかという二者択一に戦々恐々としていたんですが、うまいこと単純な手で回避できてよかった。

 しかしこれでもまだ“最低限の日本語が組めるだけ”の段階なんですよね。駆け足で更新しちゃったので、初心者向けに充分噛み砕けていないところや、逆に詳しい人から見たらガタガタなところとかがあるかもしれません。少しでも分かりづらいところがあったらぜひフィードバックお願いします。

 という感じでむしろここからが本番なんですが、年内にレイアウト編まで行けるかどうかはちょっと未定です。
 というのも「TeXLaTeX Advent Calendar 2017」に参加申し込みをしてしまったからです。

adventar.org

 ZRさんが毎年やってらっしゃるイベントで、クリスマスまでのアドベントカレンダーを一日一日TeXの記事で埋めていくというステキな企画です。今年のテーマは『TeXでつくるアレ』。現時点での私の担当は11日です。

 毎年すごく高度な話がぼんぼん飛び交っているので私なんぞが今更披露できるネタはないんですが、枯れ木も山の賑わい、ちょっとでも面白いか役に立つ記事が書けたらなーと思います。

激闘TeX:引用符をめぐって

 約物類との格闘です。このへんIPAフォントとOTFパッケージとplextとupLaTeXのデフォルトが絡み合ってパズルのようでした。
 まずは知識のないころにけっこう苦戦した〝IPAにおけるダブルミニュート〟について。

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「約物」セクション追加

全角半角・タテヨコのくだりが終わったので縦書きにおける約物の制御に入りました。
とりあえず“引用符”と、感嘆符! や英単語 etc. に自動で入るグルーと、(括弧類)の扱い方までです。
あとはダッシュだけかな?――と言ってもこれが一番根が深いんだけどorz

アクセントつきアルファベットの扱い方に比べたら大して複雑でもない問題なのに何をそんなに苦渋しているのかというと、ひとえに私の執筆方針すなわち「原稿中におけるコマンドを可能な限り減らす」のせいです。
フォントによってダッシュの間が繋がらないことは旧知の問題で、そのための解決策もとっくに出ています。\―コマンドを繋がるように定義して、文中に出てくるダッシュの頭にすべて\をつければいいんでした。

やりたくない。

原稿中にコマンド書きたくないんだよ!今回の問題すべてマクロ定義で片付けたけど本当は嫌なんだよ! それでも二重感嘆符なんかはもともと縦中横にしなければならないことは分かっていて、他の二桁の数字とかと同じと思えばまだ許せました。
ところが何故かダッシュだけは許せないんです。こう――打ちたいんです。
私自身がかなりダッシュを多用する性質だからかもしれません。大体が感情が高ぶってたりタメが入ったりするところに使うものなのでバックスラッシュがついてると水を差されたように感じるのかも。

とはいえ自動縦中横や自動ダッシュ置換を行えるほど筆者の技術力は高くありません。正直感嘆符の直後にカギカッコがくる時のグルー禁止処理だけで死ぬかと思った。それもまだベータ版だし。なんで次の字すなわちトークンをどこにもうまいこと代入できないんだ。
あーどうやったら「TeXレベルの」マクロ力強くなるんだろう……私が原著当たってないのが悪いんだけど、それでもどこかに定義済み変数(というものがあるのかどうか知らんけど要は状態を取得できるインターフェース的な)のリストとかハンディなコマンド一覧とかがあればずいぶん普通のプログラミングに近くなって助かるのにorz

しばらくは書いて書いて書き続けてTeX思考力を養うしかなさそうです。頑張ろう。

激闘TeX:ギリシャ文字とキリル文字

 アクセントと特殊記号 (2)前回の投稿までで、西ヨーロッパ諸語はなんとかなりました。次はギリシャ語とロシア語をなんとかする番なんですが、今まで避けてきたフォントの話題に触れなければならないのでまあめんどくさかったです。とりあえず私なりの理解をしたためてみます。

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激闘TeX:文字と記号のタテヨコ

 筆者はド素人ですが、ド素人なりにサイトのページには可能な限り分かりやすく、こうすればいいという結論を書くように心がけています。ですがもちろんそこに至るまでにものすごく迷走したり試行錯誤しています。
 失敗の繰り返しなのでサイトやQiitaみたいなところには上げられないし、ということで、自分用の備忘録として、そういうTeXとの死闘の記録や詳しい解説をここに書いていこうと思います。
(環境はすべてupLaTeX、ファイルの文字コードUTF-8です)

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